世界の中心は彼らで回っている

勝利六人組。グループ内の年齢差およそ10。私との年齢差およそ18〜28。

行けることになりました。


 私事ではあるが、先日同じ部活の同級生の子の家でお泊り会を行なった。私の入っている部活は同級生が私を含め5人と少ない為、他の部活動と比べると同級生同士の仲はいい方‥のはず。今回は学校付近に住んでいる友人の家へ、4人で泊まりに行った。
夜ご飯を食べ終え、各自で片付けや布団敷きなどを行なっている中、私は食器洗いをしていた。隣では友人のお母さんが料理をされていた。そんな時の会話がこちら。




友人母「奈緒ちゃんはV6が好きなの?」

私「へっ?!」

友人母「娘から聞いたんだけど‥それで、好きなの?」

私「あー‥大好きです」

友人母「コンサートは行くの?」

私「それが全滅しまして。でも横アリは近いのでグッズだけでも買おうかなぁ‥と」

友人母「何日に行くの?」

私「一応19日に行こうかなと。20日はバイトなので」

友人母「誰が好き?」

私「一番は長野さんなんですけど、皆さん好きですよ」

友人母「そっかぁ」


 適当に答えながら「なんでこんなこと聞くんだろう?」と思った。V6のアニバ魂に行けないことを日に日に実感していた私にとっては僅かながら辛い話題であった。「私が行けなくても他の人がV6を祝ってくれる」と自分に言い聞かせながら、行けないことへの悲しみをやり過ごそうとしていたから。「全滅しまして」という言葉を自分の口から出した時、「V6には会えない」という思いが私の中で纏わりついた。


友人母「じゃあ19日は一日空いてる?」

私「一応‥バイトが入らなければ。土曜授業もないので」

友人母「なら行ってみない?V6」

私「は?」

友人母「ちょっと行けなくなっちゃって。もちろん、チケット代は払ってもらうようになるし、席もスタンド後列だからいい席とは言えないんだけど」


 正直に言う。「何言ってんだこのおばさん」そう思った。友人とは1年以上の付き合いになるが、友人母とお会いしたのはこの日が初めてである。初対面の人に喉から手が出るほど欲しいV6のコンサートチケットを譲ると言われたのだ。しかし自分で言うのも、人としてどうかとも思うが、私は初対面の人に対しての警戒心が人より強い。第一印象で「この人無理だな」と思った人には自分から関わろうとしない、学生としてはその後の学生生活を左右する行為をやってのける(友人談)。
 そんな私は友人母から「V6のコンサートチケット譲るよ」と言われても、もちろん信じなかった。FC枠のチケットであれば入場時に厳しいチェックが待ち構えている。V6及びジャニーズコンサートに行ったことのない私には「FC枠チケットの譲渡」は自殺行為にしか思えないのだ。そもそも貴重なチケットを幾ら娘の友人だからといって初対面の人間に譲ろうとなんて私は思わない。


私「‥‥」

友人母「ローソンチケットで取れたからチケット本体は手元にあるんだけど」


 そう言って見せられたのは「ラブセン presents V6 LIVE TOUR 2015 -SINCE1995〜FOREVER-」「2015年9月19日(土)」と印字されたローソンチケット


 本 物 だ っ た 。


 友人母曰く、元より友人から私がV6を好きなこと、今回のツアーは全滅したことを聞かされていたらしい。「こんな大事なチケットを譲って頂くわけには」と最初はお断りした。しかし本当に用事が入って行けないこと、自分は知り合いと共にオーラスに行けること、ネットのことが分からないからネット上でお譲りに出せないこと、身近にいるならその人に譲ろうと思っていたこと、それが私だったこと、嫌なら断っても構わないと語られた。
 私は考えた。考えた末に「それなら、お言葉に甘えて」という答えを出した。非現実的すぎて全滅した時以上に実感が湧いていない。それでも私の手元には友人母から譲り受けたチケットが1枚ある。
 それでもただ譲って頂くだけでは申し訳ないので「何か出来ることはないか」と申し出たところ「グッズの代行をして欲しい」と頼まれた。オーラスの日も仕事でギリギリになるから、友人母とそのお知り合いさんの分を買って欲しいと言われた。二つ返事で承諾した。


 そんなこんなでV6のアニバ魂に行けることになった。嘘のような夢の話。そう思う人が多いだろう。安心して欲しい、1番にそう思っているのは私だ。

 眼鏡の新調をしようかな、双眼鏡やオペラグラスを用意した方がいいのかな、そう思いながら、友人宅の住所へ暑中見舞いとして価格がそれなりにするフルーツゼリーの詰め合わせを贈った昨日の午後である。